ご挨拶

理事長 住友 雅人理事長 住友 雅人

日本歯科専門医機構の設立と役割について

一般社団法人日本歯科専門医機構
理事長 住友雅人

学会は、各歯科専門領域における学問を追究し意見交換を行う場であり、学術的観点からその役割は極めて大きい。さらにいくつかの学会においては、科学的根拠を基に独自に認定した歯科専門医が活躍している。これら歯科専門医は、国民に対しては専門性を持った歯科医療を提供し、同時に歯科医師にとっては自己研鑽の指標となるという意味で、既に一定の役割を果たしている。
しかし、歯科専門医として求められる知識・技能などに統一した基準がないため、認定される歯科専門医のレベルが学会ごとに異なること、また、名称からは専門性の内容や水準が分かりにくいことなどの問題点が指摘されている。さらに、歯科専門医の広告については、平成19年厚生労働省告示第108号「医業、歯科医業若しくは助産師の業務又は診療所若しくは助産所に関して広告することができる事項」第1条第2号に定める基準から、中立性と公平性を有する組織による評価が前提となっている。そこで、各学会の歯科専門医制度について、客観的評価を踏まえた根本的な見直しが求められている。
これらの状況を鑑み、歯科専門医が安全で適切な歯科医療を提供するには、中立・公平な第三者機構の設置が必要不可欠であると判断し、2018年4月2日に日本歯科専門医機構を設立した。
医科の新専門医制度のスタートと時を同じくして日本歯科専門医機構を設立し、新歯科専門医制度を推進することは、歯科専門医の評価に重大な価値を与えるものである。受診者に認知される歯科専門医とは、プロフェショナル・オートノミーによって自分自身を律する医療人であり、そのことが歯科界に革新的な展開をもたらす可能性がある。つまるところ本機構が歯科専門医に求めることは、コンプライアンスを遵守する意識であり、クリニカルパスを用いた歯科診療の実施であり、自らの臨床症例を学術大会や専門誌に公表できる能力である。したがって専門医制度を持つ学会は、以上のような能力を身につける機会を提供していることが必要である。
機構は、登録された歯科専門医および各学会の専門医制度を継続的に監督するとともに、継続的に質の向上を求めるためにそれらを支援する。さらに、新たに歯科専門医制度を立ち上げる学会については適切な協力を行っていく。また、歯科専門医を一括的に管理し公表することによって、受診者にとっては自身の歯科的な問題点の解決にあたる専門分野が見つけやすくなるとともに、歯科専門医へのアクセスにおいても利便性が高くなる。
これらの役目を担い、歯科専門医が常に安全で質の高い歯科医療を提供するための拠点として本機構が設立されたのである。大いに活用して元気な歯科界をともに作り上げようではないか。

(2018年4月13日 第1回社員総会)