理事長挨拶

理事長再任のご挨拶

日本歯科専門医機構 理事長
今井 裕

 平素より当法人の運営につきましては、関係各位からご理解、ご支援をいただき 誠にありがとうございます。 この度、令和 6 年 6 月 20 日に開催された理事会において引き続き理事長の要職に選任いただきました。重責に身の引き締まる思いですが、理事長就任にあたりご挨拶申し上げます。
令和 2年 6 月、初めて理事長に就任させていただいた時の方針として、初代理事長住友雅人先生が設立時に掲げられた方針を踏襲するとともに、当機構の健全経営を保ちながら、国民の立場に立ち、あらゆる情報を可視化した事業運営を推進して行くことを戦略・ビジョンとして掲げさせていただきました。そして、その理念のもと、これまで歯科の専門性における新たな基本領域の策定、ならびに「基本的考え方」・「整備指針」に則り、それぞれの専門領域に関する制度設計ならびにその運用に関する協議を進めて参りました。
その過程のなかで、令和3年10月厚労省告示により医科・歯科共に機構が認定したものが広告可能とされ、当機構の社会的な責務は極めて大きくなりましたが、お陰様で理事・監事の先生方を始め、関係各位のご指導、ご協力のもと、当機構の活動は順調に進めて来られました。ご承知のとおり、昨年には定められた新たな歯科の基本領域のうち「補綴歯科専門医」が広告可能となり、本年6月理事会にて認定した「歯科保存専門医」と「矯正歯科専門医」は、現在厚労省内で医療広告ガイドライン改正の手続中であり、近々広告可能な歯科専門医となるものと思われます。引き続き、「インプラント歯科専門医(仮称)」、そして「総合歯科専門医(仮称)」の制度構築に努力していく所存です。
 その一方で、歯科の専門性について協議を進めていくと、「歯科とは何ぞや?」を問われていることに気付かされ、歯科の専門性のみならず歯科における課題も見えて参りました。そのひとつに、歯科における専門性の位置付けが明確で無く、歯科専門医を取得しても歯科医師のキャリアパスが描けないことが挙げられます。医科では生涯研修と専門性が紐づけられていますが、歯科では生涯研修についての概念そのものが曖昧で、これまでに系統だった議論がおこなわれていないのが現状です。また、国民は歯科の専門性のみならず歯科のことを良く理解されていないことも分かりました。このことは、適切な情報開示を怠ってきたわれわれ自身の怠慢と、国民が進歩した高度な歯科医療を享受する権利をわれわれ自身が奪っていたことに他なりません。
これらを踏まえ、今期は現在の活動を推し進めるとともに、抽出されている課題の解決を図り、当機構における活動の方向性について定めていく所存です。そして、引き続き健全な事業運営と事業の充実発展に尽力し、何よりも国民へ安全で適切な歯科(専門)医療を還元し、健康を守るべく全力を注いでまいりますので、今後ともご指導ご鞭撻賜りますようお願い申し上げ、理事長再任のご挨拶とさせていただきます。