常に国民視点で
日本歯科専門医機構 副理事長
鳥山 佳則
前職の厚生労働省在職時から日本歯科専門医機構の設立を経て今日に至るまで、歯科専門医制度に関わって十年余、経過しました。この長い年月が、歯科専門医制度の確立に向けての困難さを象徴しています。この点について、以前は、理事の一人として、いささか、もどかしさを感じていましたが、もしも、拙速に事業を進めようとしていたなら、社員の信頼を失い、結局、回り道になったであろうと意識を改めました。
一直線に突き進むのではなく、らせん階段を上るように、事業を進めることが肝要であると
考えています。
私は、歯科医師でありますが、衛生行政を専門とし、バックボーンとなる学会はありません。このことを前提に中立性と公平性を保ち社会に信頼される組織をめざし機構の運営に携わっていきたいと思います。さいわい、日本歯科専門医機構の運営には、複数の国民代表や弁護士が積極的に関わっており、たいへん心強く思っています。
日本歯科専門医機構の事業運営には、社員の皆さま方のご理解が不可欠であります。機構の社員は、歯学部教員を中心とした各専門学会が真っ先に思い浮かびますが、最大の組織たる社員は、開業医が中心の日本歯科医師会です。一般に医師は内科、外科、眼科、耳鼻咽喉科等、専門分野に特化して開業するの対して、歯科医師の多くは、いわゆるGP(一般歯科医)であり、歯科専門医の必要性が、さほど認識されていません。このことについては、検討を重ねている総合歯科専門医(仮称)の制度設計に期待を寄せています。また、歯科専門医制度を若手の歯科医師や歯学部学生のキャリアパスにつなげていくことも必要です。さらに、本来の事業内容からやや拡大しますが、日本歯科医師会や日本歯科医学会連合と協力して国民の皆さまへ歯科そのものをPRしていくことも重要です。常に国民視点に立った理事として日本歯科専門医機構の運営に携って参ります。