ご挨拶

日本歯科専門医機構 理事
宮脇 正和

 医療事故被害者で構成されている、医療過誤原告の会・会長の宮脇正和と申します。 私は、2019年に専門医制度整備委員会委員に就任し、2020年に本機構の理事を拝命しました。理事の中には、医療事故の患者遺族が2名、監事1名が就任しており、国民目線から率直に厳しい意見を述べる者を迎え入れられたことは本機構の覚悟を示し、それらは社会に向けたメッセージではないかと思っています。
 本機構の役員就任にあたり、創設を担当された幹部の方から、国民に信頼され歯科医療の水準をしっかり作っていくために、国民目線でぜひ協力してほしいと要請されました。専門的な機構の運営について専門外の人材を役員にする場合、一般的には運営に無難な人を選びがちだと思っていましたが、医療事故などで苦しんでいる患者団体の代表者に、あえて要請された姿勢に感銘を受け、素直にその熱意に応えたいという思いを持ちました。歯科医療の現状は、約10万人の歯科医の8割以上が地域の開業医のためアクセスは良く、国民から見ればコンビニ並みに受診できる状況にはありますが、患者が実際に自分の病状に合った専門的な治療を受けたい場合、残念ながら現状では探す手がかりがありません。さらに多くの学会の専門医認定のレベルがまちまちで認定を受けた資格と実際の技術が必ずしも一致できているとは言えない現状があり、これまで機構では主に各学会の専門医制度について客観的評価、内部の専門家だけでなく社会から見た評価を踏まえた評価基準の定着を、役員の方々と一緒に努力してきました。 今後は、本機構が認定した専門医の名簿をホームページに掲載し、患者や家族が自身の地域で専門医を探せる課題に取り組んでいきたいと願っています。機構創設から7年目、理事長をはじめ各学会から選出された担当理事の大奮闘で、機構の基盤整備が着実に進んできたと思います。役員のみなさんと共に、患者の視点で、引き続き努力していく所存です。